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競馬脱税裁判では、一時所得じゃなくて雑所得とされたけど、事業所得ではないのかな?

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■当たり馬券の所得が雑所得と初めての判断が

ハズレ馬券の購入代金が当たり馬券の所得計算上必要経費であるかが争われた
裁判に地裁で判決が下りました。

今まで、競馬の当たり馬券については「一時所得」とされていましたが
今回はじめて「雑所得」と認定されたのです。

外れ馬券:経費と認める初判断 脱税は有罪…大阪地裁

では、そもそも一時所得、雑所得、そして事業所得とはどんなものなのか
整理してみましょう。



■本来は雑所得より一時所得のほうが税金は安い

個人の所得は10種類に区分がされ、所得計算上それぞれ違った取り扱いがされます。

今回、問題となった当たり馬券の配当は、通常は一時所得とされています。

一時所得とは「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、
労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」
のこととされています。

具体的な例としては、当たり馬券の配当のほか、懸賞や生命保険の一時金などが
挙げられています。

要するに、単発でいわば偶発的に発生した所得ということです。

この一時所得とされると、その所得の金額は

(総収入金額ー収入を得るために支出した金額ー50万円)×1/2

とされます。

この場合の「収入を得るために支出した金額」は、
収入金額を得るために直接的に必要となったものに限定されるので
当たり馬券の場合、その当たり馬券を購入するために掛かった馬券代だけであり、
ハズレ馬券の購入代金は含まれないことになります。

それが、今回の裁判では、無申告であり脱税ではあるものの
「多額、機械的、網羅的に馬券を購入しており、雑所得に当たる」と認定されました。

要するに、それだけたくさん網羅的に買った事で何度もあたったのであれば、
もはや馬券が当たることはその人にとって単発で偶発的なものではないということです。

この雑所得は残りの9種類にどれもなじまない所得であり、その所得金額は

総収入金額ー必要経費

とされます。

この場合の必要経費は

(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

とされるのですが、今回はハズレ馬券が上記に該当するものとして必要経費と
認められたわけです。

二つの所得の計算式をみればわかりますが、実は通常であれば
「一時所得の方が雑所得よりも所得金額は小さく税金は安い」ことが多いのです。

ですから、たまたま万馬券が出たような場合であれば、むしろ
一時所得の方が雑所得よりも税金は安かった。

そうならなかったことからも、今回のことは税法の想定外であったような気がします。

では、一体どの当たりまで馬券を購入していれば、一時所得ではなく雑所得なのか?

その基準は今回明らかにされることはなく、今後かえって馬券購入による所得が
どの所得となるかの判断が難しくなったとも言えます。

■事業所得と雑所得の違いってなんだ?

一時所得とされなかった理由が、「たまたまじゃなくて、もはやプロだろ」
というのであれば、業としての所得である「事業所得」ではないかとも考えられます。

では、事業所得と雑所得では、税金の取り扱いにどんな違いがあるのでしょうか?

事業所得であれば、赤字になった場合に他の所得と損益通算ができます。

つまり「馬券購入事業」で赤字になってしまった場合には、
他の給与所得などと相殺が可能となります。

一方で、雑所得であれば、仮に赤字になったとしても他の所得
との損益通算はできません。

この違いは非常に大きいものです。

では、事業所得と雑所得の区分はどこでされているのでしょうか?

実は、その基準は非常に曖昧です。

サラリーマンの副業などでも、それが事業所得なのか、雑所得なのかによって
税務の取り扱いが大きく異なるのに、その判断基準は曖昧なのです。

ぶっちゃけ、その人が「事業としてやっている」と届出を出せば
事業所得として取り扱われることが多いと言えます。

少なくとも、売上高がいくら以下だと雑所得などという基準はありません。

なお、給与所得と事業所得との判断基準としては最高裁判所で
「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、
かつ反覆継続して遂行する意志と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」
を事業所得であるとしています。

今回の「馬券購入事業」をこの基準にあてはめてみますと

・自己の計算と危険において独立して営まれる=◯
・営利性、有償性を有する=◯
・反覆継続して遂行する意志と社会的地位とが客観的に認められる業務=△

となり、馬券購入事業が「社会的地位が客観的に認められているか否か」
というなんとも曖昧な基準で事業所得ではないとされていることになります。

じゃあ、今後馬券購入事業が社会的に認められたら事業所得になるのかと。

おそらくそうはならないでしょう。

なにせ、もし事業所得だということになれば、馬券を買ってハズれた赤字が
給与などの所得と相殺され、源泉所得税の還付申請だらけになってしまいますからね。

■どこに「当たり馬券は一時所得」と書いてあるのか?

当たり馬券の配当を一時所得としているのは、所得税法基本通達という
国税庁が独自に定めた見解によるもので、必ずしも所得税法上に
「馬券の配当=一時所得」という記載があるわけではありません。

しかし、国税庁はこの基本通達に固執し、
我々税理士がその判断を覆すのは至難の業です。

そのため、実務上は、ほぼ通達=法令と考えた税務執行がされています。

この判決が出るまでは、「まあ、どんなに実情に合わなくても
どうせ一時所得だろう」と思っていました。

その点からすると、ここまで継続反復して網羅的に購入している場合には、
「一時所得ではなくハズレ馬券の購入代金も必要経費とする」という判断は、
今回の事案の実情に即したものだとは思います。

ただ、それならば、継続反復しているのだし、リスクも取っている上
取引規模も十分事業と呼ぶのにふさわしいので事業所得とするのが筋なはず。

少なくとも、吉澤税務会計事務所の売上よりもはるかに多いです(汗

でも、事業所得とするのは税務行政上とても無理。

じゃあ「間を取って雑所得でいいか」なんてかんじで雑所得となったのでしょうかね。



そんなわけないか・・・

(検察側が控訴をする場合もあり、今回の判決が確定判決ではありません)



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2013-05-23 23:49 │ from URL

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