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【速報版】平成23年度税制改正大綱 - あなたのファイナンス用心棒 吉澤 大 ブログ

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【速報版】平成23年度税制改正大綱

中小企業の皆様に影響のありそうなところをまとめてみました。

Ⅰ 個人所得税・住民税課税

1 給与所得控除の見直し

<一般従業員>

→給与等の収入金額が1,500万円を超える場合、給与所得控除額の上限は245万円

<役員>

→役員給与等の収入金額が2,000万円を超える場合の給与所得控除

→収入金額に応じて徐々に245万円より減額され、
 4,000万円を超える場合は125万円に

<特定支出控除>

→「職務遂行に直接必要な弁護士・税理士等の資格取得費、
 職務と関係のある図書の購入費、職場で着用する衣服費、交際費、団体の経費」
(=勤務必要経費)を特定支出控除の対象に含める

→上記勤務必要経費の上限は65万円

→平成24年度分以後の所得税、平成25年度分以後の個人住民税に適用


2 退職所得課税の見直し

<役員に対する退職金課税方法変更>

→役員等としての勤続年数が5年以下の役員等に対する退職手当等

→退職所得控除を控除した残額の1/2を退職所得とする措置を廃止

→平成24年度分以後の所得税に、個人住民税は平成24年1月1日以後に
 支払われるべき退職手当等について適用

<個人住民税の税額控除廃止>

→個人住民税の退職所得に係る10%税額控除の廃止

→平成24年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用


3 成年扶養控除の見直し

→成年扶養親族(23歳以上65歳未満)についての扶養控除廃止

→65歳以上70歳未満の扶養親族や障害者等、また合計所得金額が400万円以下の者の
 成年扶養親族は成年扶養控除(所得税38万円、住民税33万円)の対象

→平成24年分以後の所得税、平成25年分以後の住民税に適用


4 上場株式等の配当及び譲渡所得等の軽減税率

→10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の適用期限を2年間延長


5 日本版ISAの適用時期延期

→非課税口座内の少額上場株式の配当所得及び譲渡所得を非課税

→平成26年1月1日よりの適用に延期


6 年金所得者の申告手続きの簡素化

→公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、
 年金以外の他の所得が20万円以下の者は確定申告不要

→平成24年1月1日以後に支払われるべき公的年金等に適用


7 生命保険契約等に基づく一時金の課税方法変更

→生命保険契約に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、
 控除できる必要経費の額

→従来は、個人が負担した保険料に事業主が負担した保険料も含める事が可能

→改正により、加算可能なのは給与所得に係る収入金額に算入された金額のみ

→法人で契約していた生命保険を解約返戻金相当額で個人に売却後、
 個人で解約返戻金を受け取る節税プランは効果がほとんど消滅。

→平成23年4月1日以後に支払われるべき一時金について適用


8 国民健康保険税の増額

→基礎課税額に係る課税限度額を51万円(現行50万円)、
介護納付金課税額に係る課税限度額を12万円(現行10万円)に引き上げ


9 ゴルフ会員権譲渡損損益通算制度は現状どおり

→ゴルフ会員権について譲渡損が発生した場合に他の所得との損益通算
 については今年度も規制はされず。23年度も活用可能


「参考」 子ども手当創設に伴う扶養控除調整(22年度決定分)

<国税>

→15歳までの扶養控除廃止(現状38万円)

→16歳から18歳までの扶養控除は38万円へ減額(現状63万円)

→実施時期は23年度分所得税より

<地方税>

→15歳までの扶養控除廃止(現状33万円)

→16歳から18歳までの扶養控除は33万円へ減額(現状45万円)

→実施時期は24年度分住民税より


Ⅱ 資産課税

1 相続税・贈与税の見直し

<相続税の基礎控除の縮減>

→3,000万円+600万円×法定相続人の数へ

<死亡保険金の非課税限度>

→500万円×法定相続人の数(未成年者、障害者、生計を一にしていた者に限定)

<相続税率構造の見直し>

課税遺産の額    税率
1,000万円以下の金額 10%
3,000万円以下の金額 15%
5,000万円以下の金額 20%
1億円以下の金額 30%
2億円以下の金額 40%
3億円以下の金額 45%
6億円以下の金額 50%
6億円超の金額 55%

<未成年者控除の引き上げ>

→20歳までの1年につき10万円に

<障害者控除の引き上げ>

→85歳までの1年につき10万円(特別障害者は20万円)に


→上記相続税の改正は平成23年4月1日以後の相続に適用

<贈与税率構造の見直し>

(1)20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合

贈与財産の額   税率
200万円以下の金額 10%
400万円以下の金額 15%
600万円以下の金額 20%
1,000万円以下の金額 30%
1,500万円以下の金額 40%
3,000万円以下の金額 45%
4,500万円以下の金額 50%
4,500万円超の金額 55%


(2)その他の贈与を受けた場合

贈与財産の額   税率
200万円以下の金額 10%
300万円以下の金額 15%
400万円以下の金額 20%
600万円以下の金額 30%
1,000万円以下の金額 40%
1,500万円以下の金額 45%
3,000万円以下の金額 50%
3,000万円超の金額 55%


<相続時精算課税制度の適用対象者>

→受贈者の範囲に20歳以上の孫を追加

→贈与者の年齢要件を60歳以上(現行65歳以上)に引き下げ


→上記贈与税の改正は平成23年1月1日以後の贈与より適用


Ⅲ 法人課税

1 法人税率の引き下げ

→下記のように税率を引き下げる
  
      年800万円超 年800万円以下
普通法人
(資本金1億円超) 30%   25.5%
中小法人
(資本金1億円以下) 18%   15%


→法人住民税の税率は現行通りだが、
 結果的に法人住民税の実効税率も0.87%引き下げ

→中小法人についての法人税・事業税・住民税の税率は、
 年800万円以下は約21%、年800万円超の部分は約35%へ

→平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用


2 減価償却制度

→定率法の償却率を定額法の償却率の2.5倍から2.0倍へ変更。

→結果、定率法を選択した場合、当初の減価償却費が従来よりも減少する。

→平成23年4月1日以後に取得をする減価償却資産に適用


3 欠損金の繰越控除額の制約

→欠損金の繰越控除限度額に制限

→控除限度額=繰越控除前の所得金額×80/100

→中小法人等(資本金1億円以下の会社)は現行の控除限度額のまま

→会社更生等による債務免除益等があった場合も現行どおりの
 欠損金の損金算入が可能

→平成23年4月1日以降に開始する事業年度より適用


4 欠損金の繰越控除期間の延長

<繰越期間>

→欠損金の繰越期間を現行7年から9年に延長

→欠損金の繰越控除を受けるには、その期間内の帳簿保存が要件

→平成20年4月1日以後に終了した事業年度に発生した欠損金が適用対象

<更正期間>

→欠損金額についての更正の期間を現行7年から9年に延長

→平成23年4月1日以後に法定申告期限が到来する法人税に適用


5 貸倒引当金制度

→適用対象者が銀行、保険会社等と中小法人等に限定

→それ以外の法人は経過措置により順次限度額を減額


6 寄附金の損金算入限度額の減額

→一般の寄附金の限度額=(資本金等×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4

→特定公益増進法人への寄付金の限度額を上記金額だけ増額


7 雇用促進税制

→雇用促進計画の届出を行った法人

→一般被保険者の数が前期末より10%以上かつ5人以上(中小企業者等は2人以上)増加

→一人当たり20万円の税額控除

→税額控除額は当期の法人税額の10%(中小企業者等は20%)を限度

→平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用


8 環境関連投資促進税制

→エネルギー期限CO2排出削減等に効果のある設備等を取得し、事業の用に供与

→取得価額の30%の特別償却が可能

→中小企業者等は、上記特別償却と取得価額×7%の税額控除との選択可

→税額控除額は当期の法人税額の20%を限度

→平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に取得した資産に適用


Ⅳ その他

1 消費税の事業者免税点制度

→現行の免税事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1,000万円超の事業者は、
 免税事業者とはならない

 イ 個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高

 ロ 法人のその事業年度の前事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高

→上記のその年又はその事業年度が平成24年10月1日以後に開始するものについて適用


2 消費税の仕入税額控除制度

→課税期間の課税売上高が5億円超の事業者

→課税売上割合が95%以上の場合に、全額仕入税額控除が可能な制度の適用不可

→平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用
 

このレポートは平成22年12月16日現在公表されている事実に基づいて記載しております。
その後判明した事実により取り扱いが異なる場合や、法律が改正される場合がございます。

なお、このレポートは当事務所のクライアント用に作成されたものです。
万一、このレポートに記載された内容につき、当事務所と顧問契約のない方が
いかなる損害を被ったとしても、当事務所で責任を負うことはございません。

必ず顧問税理士とご相談して運用して下さい。


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