2005年12月17日 13:44
−同族会社の役員報酬への規制−
●何でマスコミは報道しないのだろう
12/15発表の税制改正大綱にとんでもない改正案が、こっそりと掲げられていました。
昨日も記載しましたが、
一定の同族会社の役員報酬については役員報酬相当額の損金算入を認めないというものです。
これは、本当にオーナー系企業にとっては、ダメージが大きいでしょう。それこそ、定率減税の廃止なんて全く気にもならないくらいに。
マスコミはまったくこの件については無視ですね。
エコノミストが語る「定率減税の廃止は、現在の状況では消費に与えるインパクトは小さい」なんていう「上から目線」のコメントではなく、
大企業復活のために、かなりの負担を強いられてきた中小企業に大きなダメージを与えるこの改正案の問題点をきちんと報道して欲しいものです。
今日は、この改正案について個人的に感じたことについて書かせて頂きます。まあ、私が何を言ったって実行されるのはほぼ間違いないんで興味のある方だけお読み下さい。
グダグダ文句を言っているだけで、長いですから(^^)
個人事業者であれば、「実額経費」しか控除出来ないものが、法人設立をすると「実額経費」を控除した後に給与所得控除という「概算経費」が二重に控除出来ることになります。
この点では、この改正案は、十分説得力のあるものと言わざるをえないでしょう。
●役員報酬なんて「仮払」みたいなもの
「サラリーマンはガラス張りでキッチリ課税されているのに、会社経営者は会社の経費でベンツに乗ったりして優遇されている。」「そんな奴らには課税してしまえ!」
ひょっとしてこんな感じで決まったのかも。(^^)
この点については、どうしても一言言いたいんですよね。確かにサラリーマンよりは会社経営者の方が税法上のメリットを享受していることは否定しません。
ただし、サラリーマンの給与と会社経営者の役員報酬には根本的に違う部分があると私は思っています。
だって、サラリーマンの給与は、一旦もらったものは余程のことがない限り会社に返上するなんてことはないでしょう。
それに比べて、会社経営者の役員報酬なんて、ホント「仮払」みたいなもので、ちょっとでも業績が悪化したり、資金繰りが苦しくなったらすぐに会社に還流させなければならないんですから。
大体、会社の利益なんて言ったって当期利益そのものが会社の金庫に残っている場合なんてほとんどないですよ。多くの場合、それらは売掛金や在庫になっていて、借金でなんとか資金繰りを付けているんですから。
それに、中小企業の場合、役員報酬として一旦課税を受けながら、個人口座にプールした資金を新規設備投資の際に利用したり、業績悪化時に活用するのは、もはや「賢い中小企業経営者の常識」でしょう。
金融機関だって、返済財源とされる「当期利益+減価償却費」だけでは、満足な調達額が算出されない場合、この役員報酬を「準内部留保」として加算した上で、融資可否の判定をする場合もあります。
また、「法人と個人を一体として格付けを判断せよ」と金融検査マニュアル(中小企業編)にまで書かれているほどです。
それこそ、「仮払」に過ぎないような金にわざわざ源泉所得税を支払って必死に不況時の「非常食」を備蓄しているんだから、「もう勘弁してあげてよ!」ってのが私の気持ちですね。
そもそも、儲かった(別に資金がなくても会計上だけの場合も多い)時には、ビッチリ課税をしてくるでしょう。
そのくせ、翌年赤字になったときには、本来なら認められるはずの、税金の繰戻還付は「財政上の理由」とか実質的に凍結しているのです。
同族会社は、内部留保を作っちゃいけないんですかね。留保金課税なんておかしな追加課税もあるし。
一体どうやって業績変動耐久力を付ければ良いんでしょうね。中小企業は。
少なくてもこの改正案を施行するなら、同時に欠損金の繰戻還付も再開して欲しいものです。
●どう考えても「適用除外」の考え方はおかしい!
さすがにこの規定はインパクトが強すぎると考えたのでしょう。一部適用除外が設けられています。
ちょっと長いので要約すると
◆まず直前3期の平均で役員報酬控除前の所得が800万円
の法人は影響なし。
◆上記の金額が800万円超3,000万円以下の法人は、
その金額の半分以上の役員報酬をとると影響有り。
ということでしょうかね?
これって中小企業のオヤジなら「家族の収入は800万円ぐらいで十分だろう」という意味なんでしょうか。(^^)
零細業者にまでこの改正案を適用するのは酷だという判断なのでしょうが、私はこの適用除外にも違和感を感じます。
おそらく、新会社法の影響もあり、来年5月以降、フリーランスやSOHOの人たちの中には節税メリットを享受するため会社を設立する人もいるでしょう。
批判を覚悟でいわせてもらえば、そういう方は、「個人事業者との公平性」の点からも、逆にこの規定は適用されてもやむを得ないと個人的には思っています。
しかし、社会的信用を得るため法人形態をとらざるを得ず、従業員の雇用を維持しながら、景気変動という荒波を乗り越えようと血の出るような思いをしている中小企業オーナーにとって、この改正案は、あまりに酷い仕打ちといえるでしょう。
ところが、この適用除外規定をそのまま当てはめると、それ程所得の多くないフリーランス・SOHOによる「疑似法人」は適用除外になり、より多くの内部留保の必要な設備投資や従業員雇用をする中小企業オーナーでは、ガッチリこの改正の影響を受けることになるのです。
具体的な増税額も、例えば、社長が1,500万円の役員報酬を得ていたオーナー企業であれば、おそらく75万円程度法人税等が増加することでしょう。
●おそらくイタチごっごになるでしょう。
これだけダメージが大きい改正案なら、おそらくこの改正案の回避策とその防止策のイタチごっこになるでしょうね。
もちろんココでは書きませんが、ちょっと見ただけですと・・・
◆発行済み総数の「90%以上」を持っているとまずいのか・・・
◆役員の「半分以上」が同族関係者だとまずいのね・・・
◆直前三年間の平均ってことは「新設法人」はどうなるのかな・・・
◆「1社で」役員報酬控除前所得が800万円ならいいんだよな・・・
こんな「疑問」が生じますね。ハイ。
また責任のない無資格者が「税理士は知らない方法教えます!」なんて本を出しそうで。そして、すぐに防止策が講じられる。
あれって、本当に迷惑ですよね。こっちだって知っているけど表立って言えないだけなのに・・・(^^)
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コメント
kimutax | URL | -
こんにちわ!
>あれって、本当に迷惑ですよね。こっちだって知っているけど表立って言えないだけなのに・・・(^^)
パチパチです。なんかスッキリしました。
私、A新聞にこの改正案に対する反論を投稿しましたが、 さて、取り上げてもらえますやら。
( 2005年12月18日 17:10 [編集] )
たか | URL | -
役員報酬なんて仮払いに過ぎないといっても、個人事業者との税負担の差については説明になってませんよ。800万もその税負担の差が逆転する点ですよね。
サラリーマンからみれば、いくらリスクがるとはいえ中小企業の社長の方がよっぽどいい暮らししてるように見えますから、今回の改正は大賛成です。
( 2005年12月18日 22:18 [編集] )
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